医療用のX線写真と同様の原理で白黒の画像として撮影されます。
　X線画像では、撮影する作品の厚みや素材を構成する化合物の種類によってX線の透過率が異なるため、肉眼では見えなかった筆触や旧修復の痕跡などが写し出されることがあります。

　比較的可視光に近い360nm付近の紫外線を画面に照射し蛍光を観察することで、ワニスの有無や旧修復による補彩など、絵画の最表面の状況を把握します。
　この写真では、上辺・右辺に黒く補彩が観察できます。

　赤外線は、画面の表面下10-100μ程度の深さまで到達するので、肉眼のみでは観察が難しい下素描の線や汚れた表面の下にある画像の観察ができます。

　光を作品の片側から照射することによって、作品の表面の凹凸の状態を観察することができます。この方法により絵具層の浮き上がり、支持体の変形、筆触の程度などが明らかになります。
　この写真では画布のたるみ、絵具の亀裂がよくわかります。

　絵具層から微小な試料片を採取し、断面を顕微鏡などで観察することで、絵具層の内部やグレーズ層の有無などの技法的な側面を理解することが出来ます。地塗層も同様です。絵具層に加えられた少量成分も明確に観察できます。
　また加筆・補彩などの後補の有無について確認できます。