QUALITY21クオリティ
アンゼルム・キーファー「星空」国立国際美術館蔵
修復研究所21の
豊富な実績EXTENSIVE EXPERIENCE
全国の美術館・博物館などで多数の修復実績があります。
-
修復研究所21は、創立以来数々の美術作品の修復を手がけてまいりました。
その域は絵画に留まらず、壁画や立体作品、大型作品などあらゆるジャンルの美術作品に渡り、また、全国の美術館、博物館、資料館、各種財団・個人所蔵の作品などの多くの作品を手がけてまいりました。2012年より、迎賓館天井絵画の修復を行っています。(その報告書は内閣府のホームページ(別ウィンドウが開きます)からご覧いただけます)
それらの修復作業の中で常に、オリジナリティを尊重しながら作品を本来の姿に修復することを心がけております。
主要取引先MAIN CLIENTS
青森県立美術館 | アーツ前橋 | 板橋区立美術館 | 一関市博物館 | いわき市立美術館 | 上原近代美術館 | 大川美術館 | 大阪中之島ミュージアム | 神奈川県立近代美術館 | 神奈川県立歴史博物館 | 川崎市市民ミュージアム | 岐阜県美術館 | 宮内庁三の丸尚蔵館 | 群馬県立近代美術館 | 郡山市立美術館 | 慶應義塾大学アート・センター | 神戸大学附属図書館 | 国土交通省 | 国立国際美術館 | 損保ジャパン東郷青児美術館 | 国立大学法人信州大学附属図書館 | 千葉市美術館 | 国立大学法人東京藝術大学 | 東京国立博物館 | 公益財団法人東京都慰霊協会(東京都建設局東部公園緑地事務所) | 東京都江戸東京博物館 | 東京都現代美術館 | 徳島県立近代美術館 | 豊島区文化デザイン課 ミュージアム開設準備グループ| 栃木市 | 鳥取県立博物館 | 富岡市立美術博物館 福沢一郎記念美術館 | 富山県立近代美術館 | 長野県信濃美術館 | 新潟市美術館 | 練馬区立美術館 | 平塚市美術館 | ふくやま美術館 | ベルナール・ビュフェ美術館 | 北海道立旭川美術館 | 北海道立近代美術館 | 町田市立国際版画美術館 | 松本市美術館 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 | 宮城県美術館 | 国立大学法人宮崎大学 | 目黒区美術館 | 株式会社目黒雅叙園 | 靖國神社遊就館 | 山梨県立美術館 | 横浜美術館 | 米子市美術館 | 碌山美術館 | 和歌山県立近代美術館 | 早稲田大学會津八一記念博物館
オリジナルを尊重する
修復技術RESTORATION TECHNIQUES
貴重な作品を本来の姿に
-
修復に際して大事なことは、オリジナリティを損なうことなく安全に修復作業を行い、作品を安定した状態で次世代に残し伝えていくことです。加えて修復作業にともなう詳細な調査と記録は、修復技術や技法材料に関する重要な情報の蓄積となります。
これらの情報を社会に還元していくことも、私たちの大切な役割です。
修復事例作者不詳「風景」個人蔵
-
BEFORE
-
AFTER
科学調査と診断SCIENTIFIC RESERCH
AND DIAGNOSIS
目視だけでなく科学的見地からも作品の状態を把握
-
作品を修復する際には、まず事前調査を行い、作品の状態を把握した上で修復方針を立てて行います。事前調査では、目視による状態記録表の作成のほか、必要に応じて紫外線、赤外線、X線などの光学的調査、絵具層のクロスセクションや化学分析などの科学調査を行います。
X線による調査診断
当研究所では、必要に応じて紫外線・赤外線・X線・可視光線写真を用いた写真撮影や微量サンプルの化学分析など科学的検査を軸に、ワニス層・絵具層・地塗層・支持体などの各部位に渡る綿密な状態調査を行っています。 修復前に行う現状記録と修復中及び修復後の記録は、処置事項ならびに作業工程の決定に役立つばかりではなく、将来予想される再修復のときに重要な参考資料になります。
絵画の修復は、時に思わぬ古い絵画と遭遇することがあります。たとえば以下の戸張孤雁の「自画像」。左側は作家の自画像として伝えられている絵画ですが、X線の技術を用いて撮影してみると、右側の絵のとおり、人体の足、そして別の角度で人の顔が描かれていたことがわかります。これは、もともとは2倍以上の大きさのキャンバスに男性の体を描き、それを切って別の角度で顔を描いたものと考えられます。さらにその上に、左のとおり正面を向いた自画像を描いたものと推察されるのです。
このように、1枚の絵のように見えても、X線などの専門技術によって、その前に描かれていた古い絵画を発見することがあります。
-
【修復後】戸張孤雁「自画像」碌山美術館蔵
-
【X線】戸張孤雁「自画像」碌山美術館蔵
作者不詳
「Portrait of Christ(救世主像)」
東京大学総合図書館蔵
断層写真(クロスセクション)と化学分析
「Portrait of Christ(救世主像)」は、東京大学総合図書館所蔵の銅板に描かれた油彩画です。修復の際に行われた調査によって、この作品について興味深い発見がありました。
銅板に鉛白を主成分とする地塗り層があり、その上に油絵具で描かれていますが、「断層写真(クロスセクション)」によりこの銅板と地塗層との間に、緑色透明な樹脂酸銅あるいは油脂酸銅が観察されました。油脂分と金属の銅が接触したことによって、形成されたと考えられます。
また絵具層には、透明な顔料としてスマルトが使用されていました。このスマルトは現代の市販品と比較すると、原材料のひとつであるコバルトに含まれる不純物も確認されました。
(修復研究所報告書 vol.15 1999.2000 参照)
断層写真(クロスセクション)による調査事例
断層写真(クロスセクション)とは、絵具層から微小な試料片を採取し、断面を顕微鏡などで観察する調査技法です。絵具層の内部やグレーズ層の有無などの技法的な側面を理解することができます。地塗層も同様です。絵具層に加えられた少量成分も明確に観察できます。
また加筆・補彩などの後補の有無について確認できます。
【試料片採集箇所】
-
【修復前】表面の実体顕微鏡(手術用)による右目付近の観察
細かい亀裂がワニス層にあり、ワニスの溜まりも観察出来る -
【修復前】右手付近
黄化したワニス層の光沢が顕著である
-
【試料片A】×200
黄化したワニス層が最上層にある -
【試料片D】×200
金箔が黒色最上層にある -
【試料片E】×200
地塗り層に緑色が多く浸透した例赤はバーミリオン -
【試料片F】×50
表面(右)裏面(左)
裏面は緑色透明な部分が多い -
【試料片B】×200
絵具層の透明な部分はスマルト -
【試料片B】組成像
矢印Aはスマルトの一例
矢印Bで挟まれた層はワニス層で、鉛を多く含む層 -
【試料片B】Pb M α線像
線像主に地塗層に多く分布する -
【試料片B】Si K α線像
スマルトの主成分検出例 -
【試料片】×200
作品剥落部分に存在した緑色透明の試料片 -
【スマルト粉末顔料】×200
現代のスマルト粉末顔料
ZECCI社(イタリア)製
試料片調査結果
試料片種類/色 | EPMAによる検出元素 | MDGによる検出化合物 | 推定顔料と備考 |
---|---|---|---|
絵具層/白 | Pb | 2PbCO3・Pb(OH)2 | 鉛白 |
絵具層/赤褐 | Fe, Si, Al | ー | 酸化鉄系顔料 |
絵具層/赤 | Hg, S | HgS | バーミリオン、辰砂 |
絵具層/青 | Cu | 2CuCO3・Cu(OH)2 | アズライト |
絵具層/透明 | Si, K, Co, As, Fe, Al, Ca, Ni, Bi |
ー | スマルト(Siが主成分) |
絵具層/透明 | Ca | CaCO3 | 炭酸カルシウム |
絵具層/黒 | Na以上の原子番号を持つ 元素は未検出 |
ー | カーボンブラック |
絵具層/金 | Au, Ag | Au | 金箔(Agは少量成分) |
地塗層/白 | Pb | 2PbCO3・Pb(OH)2 | 鉛白 |
支持体 | Cu, Zn, Pb | Cu | 銅* Zn は少量成分 Pb は微量成分 |
-
[研究所概要]ABOUT US
オリジナリティーを尊重する、
次世代へ作品と修復技術を伝えていく。 -
[21クオリティ]21 QUARITY
科学的アプローチを含め
レベルの高い修復技術にて対応。 -
[業務内容]WORKS
長年の研究から得た、確かな技術。
最適な方法により作品に寄り添い、修復。 -
[最近の研究活動]ACTIVITIES
絵画から立体まで。
多岐にわたる修復対象。
ご相談・お問い合わせCONTACT US
修復研究所21へご相談やご質問がありましたら、
お気軽にお問い合わせください。
- 03-3986-5091
- 03-3983-2377